お部屋の壁紙・クロスには防カビ・消臭・汚れ防止などの機能を兼ね備えた「機能性壁紙」というものがあります。
お家の購入やリフォームをお考えの方は、デザインだけでなく、壁紙の機能性についてもしっかりと検討することが、失敗しないお家選び・リフォームに繋がります。
この記事では、機能性壁紙とは何なのか、どんな機能の壁紙があるのかを紹介していきます。
表面強化・汚れ防止・撥水・吸放湿・消臭については、一般の壁紙と機能性壁紙の効果を比較した動画もあります。ぜひ、ご覧ください。
主な機能性壁紙について、どんな種類があるのか、どんなお部屋におすすめかをかんたんに知りたい方は、下記1分動画をご覧ください。
機能性壁紙とは
壁紙・クロスにはカビの発生を抑制、消臭効果、抗菌効果、、、など、さまざまな機能性を兼ね備えたものがあります。これらを機能性壁紙といいます。
お部屋の用途や趣味嗜好、体況などに応じた機能性壁紙を選ぶことで、より快適な生活を補助してくれます。
以下、機能性壁紙の種類や効果について紹介していきます。
機能性壁紙の種類と効果
種類 | 機能 | |
![]() | 表面強化 | 一般ビニル壁紙よりひっかき傷に強い |
![]() | 汚れ防止 | 汚れが浸透しにくく落としやすい |
![]() | 撥水 | 水汚れがつきにくい |
![]() | 吸放湿 | 湿度が高い時は湿気を吸収、湿度が低い時は湿気を放出 |
![]() | 消臭 | 生活における様々な悪臭に効果 |
![]() | 防かび | かびの発生繁殖を抑制 |
![]() | 抗菌 | クロスに付着した細菌に対し繁殖を抑制 |
![]() | 通気性 | 細かい空気の通り道から湿気が通り抜ける、カビの発生を軽減 |
![]() | 珪藻土 | 湿度を調整、匂い吸収、耐火性 |
![]() | 抗アレル | 花粉やダニを吸着し、アレル物質※の働きを軽減 |
![]() | 抗ウィルス | ウィルス対策を施した壁紙 |
以下、各機能の詳細を説明します。
表面強化
表面強化壁紙は一般ビニル壁紙よりひっかき傷に強い強度がある商品です。
参考資料:日本印刷学会誌 特集 「建材印刷の現状と課題」内、5.機能壁紙 ③表面強化壁紙
1級~5級までの等級があり、下記表の1~3級が一般ビニル壁紙、4・5級が表面強化壁紙になります。
5級 | 一見視で特に変化が見られない |
4級 | 多少表面傷が見られるが、比較的大きな表面層の破れ等は見られない |
3級 | 表面層の破れが明確に見える |
2級 | 表面が破けて紙等の裏打材が明らかに見える(長さ1cm未満) |
1級 | 表面が破けて紙等の裏打材が明らかに見える(長さ1cm以上) |
1・2級の商品はは表面に凹凸を施している商品が多く、
意匠性(見た目・デザイン)に優れた商品が多いのが特徴です。
その反面、爪が当たった程度で表面が剥がれてしまうものもあります。
このような商品は、天井などの手の触れないところに使用するとよいでしょう。
汚れ防止
汚れの落ち方に違いがあるのかを検証してみました。
【検証した汚れの種類】
①水性ペン
②ソース (壁紙に垂らして1分経過後に拭き取り)
③コーヒー(壁紙に垂らして1分経過後に拭き取り)
汚れ防止クロスは表面にフィルム加工を施すことにより、
汚れが浸透しにくく落としやすい機能です。
一般の壁紙では落ちにくい油汚れや手垢、落書き、タバコのヤニなども水拭きや中性洗剤、消毒用アルコールを使って落とすことができます。
参考資料:日本印刷学会誌 特集 「建材印刷の現状と課題」内、5.機能壁紙 ①汚れ防止壁紙
一方で、施工に関しては、表面が固いため職人泣かせの商品になります。
時間・手間がかかるため通常商品に比べ割高になることがあります。
撥水
撥水加工を表面に施すことで、水汚れがつきにくくなった壁紙です。
上記動画の通り、水を弾く性質があり、水汚れが付着してからすぐであれば汚れを拭き取ることができます。
洗面所や台所などの水汚れが気になる空間におすすめです。
吸放湿
【検証内容】
①高さ15cm幅15cm奥行15cmの箱を部屋に見立て
②天井・床・壁(3面)にクロスを貼り
③お湯の入ったコップを置き、1時間の湿度の変化を観察
湿度が高い時は湿気を吸収し、
湿度が低い時には湿気を放出する機能があります。
環境に応じて湿度をコントロールし、結露やかびの発生を抑えることができます。
長時間いることの多い、リビングや寝室などにおすすめの機能性壁紙です。
消臭
【検証方法】
①アルカリ性で赤色に変化する「フェノールフタレイン溶液」の性質を利用
②アルカリ性のアンモニア水とフェノールフタレイン溶液を反応させる
【検証1】 一般の壁紙と消臭機能付壁紙に直接フェノールフタレイン溶液とアンモニア水を吹きかけ、10分間の色の変化を観察
【検証2】 一般の壁紙と消臭機能付壁紙を箱の内側に貼り、フェノールフタレイン溶液に浸した白紙にアンモニア水を吹きかけ、 箱の中に設置、20分間の色の変化を観察
クロスの消臭機能には、生活における様々な悪臭に効果があります。
ペットの臭い、トイレの臭い、汗の臭い、生ゴミなどの悪臭、タバコの臭い、建材などの臭いなど様々な臭いに効果があります。
タバコを吸われる方、ペットを飼われている方に有効なクロスです。
この商品も、クロスの劣化とともに機能が衰退します。
防カビ

防かびクロスは、かびの発生繁殖を抑制します。
近年、各メーカーでほとんどの商品に機能として取り入れており、
意識せず選んだ商品が防カビ機能がついていたということがあると思います。
参考資料:日本印刷学会誌 特集 「建材印刷の現状と課題」内、5.機能壁紙 ②防カビ壁紙
下記表は、一般的なかび5種類を壁紙表面に付着させ、4週間後のかびの発育状況の測定結果になります。
防かび壁紙は、「結果の表示」で”0”の性能を有したものになります。
しかし防カビ機能があるからといってまったくかびが生えないということではありません。
かびの発生・繁殖は湿度と大きな関わりがあるため、防ぐには常に換気を心掛けることも大切です。
菌糸の発育 | 結果の表示 |
肉眼及び顕微鏡下でのかびの発育は認められない | 0 |
肉眼ではかびの発育が認められないが、顕微鏡では明らかに確認できる | 1 |
肉眼でのかびの発達が認められ、発達部分の面積は試料の全面積25%未満 | 2 |
肉眼でのかびの発達が認められ、、発達部分の面積は試料の全面積25%〜50%未満 | 3 |
菌糸はよく発達し、発育が認められ、発育部分の面積は試料の全面積の50%以上 | 4 |
禁止の発育は激しく、試料全面を覆っている | 5 |
抗菌

クロスの抗菌とは、浮遊している物質を制御するものではなく、
クロスに付着した細菌に対し繁殖を抑制するものです。
主に大腸菌・黄色ブドウ球菌などで検査が行われています。
下記は、壁紙の表面に試験菌液を滴下し、温度35±1℃、湿度90%以上で24±1時間培養、培養後の生菌数を比較した試験の結果です。
6,200〜25,000個あったものが、24時間後には1未満になっています。
抗菌性が高くても、全ての菌を排除してくれるわけではありません。
また、クロスの劣化と共に機能も衰退していきます。換気や掃除も必要です。
試験菌 | 試験開始時の生菌数(個/cm2) | 試験後の生菌数(個/cm2) |
大腸菌 | 6.2×10の3乗〜2.5×10の4乗 | 0.63未満 |
黄色ブドウ球菌 | 6.2×10の3乗〜2.5×10の4乗 | 0.63未満 |
通気性

壁紙に小さな空気の通り道を作ることにより、通気性を高めた壁紙です。
換気が難しく、かびが発生しやすいお部屋(クローゼットなど)におすすめの機能性壁紙です。
珪藻土

植物性プランクトンの死骸などが蓄積し、化石化したものが珪藻土です。
湿度が高い時には湿気を吸い取り、乾燥時には水分を放出して湿度を快適に保つ効果があります。
サンゲツの行った吸放湿試験ではコップ12杯分の湿気を吸水・放出したという結果が確認されています。試験の詳細は下記サンゲツのカタログでご確認ください。 サンゲツカタログ「2021-2023 ファイン」p71に記載
抗アレル

アレルギー症状の原因物質であるアレル物資(空気中の目には見えない花粉やダニの死骸・糞など)の働きを抑える効果があります。
外出から戻った時に一番最初に触れる玄関や手洗い・洗面所、家族みんなが集まるリビング、ハウスダストが気になる寝室などにおすすめの機能です。
抗ウイルス

壁紙に付着したウィルスを減少させる効果があります。家族が集まるリビングや子供部屋などにおすすめの機能性壁紙です。
以上、11種類の機能性壁紙を紹介いたしました。
デザインに加えて、壁紙の機能性も一緒に検討していくことが、
みなさまの失敗しないリフォームの一助になりますと幸いです。

経歴:インテリアメーカーに27年、インテリア資材卸に10年。現在は、お客様対応、リフォーム・修理の見積もり、その他安心大工の主要業務全般を行なっています。
ひとこと:元気と笑顔で皆様のリフォームに貢献します。
趣味:スポーツ観戦・ゴルフ・お酒